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「ひろしくん 誕生」 特設ページ
『あなたの町の御用聞き ひろし誕生物語』POD(Amazonオンデマンド出版)企画進行中!
改訂版・追加コンテンツなど、最新の情報は紙本で! ご期待ください。

ネット敗戦からの逆襲

米ネット資本は元寇より手強い
はじめに 日本の大不況はアメリカのインターネット戦略から

 日本ほど幸せそうな国は、世中、どこを探してもないように見えた。
 その台所がどうもおかしい。2019年暮れには経済成長率がマイナス6・3%に減速した。新型肺炎騒ぎの前の段階でこれだから誰もが先行きを心配している。
 この理由について、消費税率の10%アップ、天候不順などが語られているが、一番大きな要因であるアメリカのインターネット戦略とネット資本について国会でも取り上げない。同盟国アメリカに気を使っているためのようだが、それにも限度というものがあるだろう。
 日本の財政赤字は1000兆円を大きく超え、GNPの倍、国家予算の3倍超に膨れ上がった。こんな大きな借金をどうしたら返せるだろうという天文学的なレベルだ。そこに国際通貨基金(IMF)から「少子高齢化の日本は2030年までに消費税率15%へ、2050年までに20%に引き上げるべし」の勧告(2月10日)。これから先、日本が二度と再び繁栄することはないという無慈悲な宣告が下されたともいえる。
 この本は、日本人がここまで堕ちたわが国の現実の姿を直視して、かけがえのない日本の再生に立ち上がってくださるようにと祈りながら執筆した。
 インターネット戦略の発動から25年以上かけて日本のみか世界中から富を吸い上げたアメリカのネット資本は、日本の国家予算を上回る世界最大の会社に太っている。いまや鎌倉時代の元寇よりも手強いかも知れない。
 しかしながら日本と日本人にはネットの利便性に負けない美意識と品質がある。目には見えないけれども大切なものを大事にする日本人の人間関係が生きる社会基盤もまだ健在だ。そこから助っ人「ひろしくん」のもとに多くの国民が結束して反撃するならば、勝機はまだあると考えたい。

 

 

 
第1章 米アマゾンCEO離婚した妻に3兆8500億円の慰謝料
日本人が貢いで、アメリカのネット資本は太る。明白な相関関係の果て

 アメリカのインターネット戦略は二段構えで日本に迫っている。
 第一段階はインターネット利用の民間開放が始まった1993年に始まった。そのとたんに日本の国際競争力は暴落して不景気に陥り、税収も落ち込んで、政府予算は借金しないでは組めないほど苦しくなった。それが二十数年も続いて今日の1000兆円を越える日本の財政赤字に表れている。
 アメリカのネット資本はそれでも満足することなく、こんどは日本の物流に矛先を向けてきた。アマゾンの新しいビジネス、e委託販売は第二段階の攻勢とみることができる。書籍のインターネット販売で日本に橋頭堡を築いたアマゾンは、日本人の暮らしの物流にターゲットを合わせて、本格的な宅配まで行おうとしている。

 便利なことに目のない人々は「いいじゃない」と拍手を送るかもしれない。アマゾンのCEOジェフ・ベゾスにしてもなにも日本だけからお金を巻き上げようとして商売をしているわけではない。競争相手より効率的で便利な商品を、合法的に提供しようとしているに過ぎない。それが国境を越えるネット時代のビジネスというものだ。

 しかし国境をやすやすと越えるインターネットビジネスには、また別の顔がある。
 ジェフ・ベゾスは昨年、世界をアッと驚かせた。二十五年間連れ添った妻、マッケンジー・ベゾスと離婚したのだ。2019年7月29日の離婚調停で明らかになったところによれば、妻にはアマゾンの株式の約4%、350億ドルが譲渡されたという。1ドル110円換算の日本円で約3兆8500億円である。
 それでもジェフ・ベゾスはアマゾンの株の12%、1148億ドルの株を保有しているので世界一の富豪の地位は揺るがない。日本円にして126兆2800億円である。2018年から世界一の金持ちになったベゾスは実に日本国の一般会計予算を上回るお金持ちなのだ。(米経済誌フォーブス)

 別れた妻マッケンジーとの25年間の成功は見事なものだ。
 インターネットが解禁された1993年に結婚した二人は、ネットで書籍を売るベンチャーを立ち上げるためにシアトルのガレージでアマゾンを創業した。妻マッケンジーは知性の塊のような女性で、ジェフを助けて会計から顧客とのやり取り、本の郵送まですべてをサポートして見事にアマゾンを軌道に乗せた。いまやビル・ゲイツのマイクロソフトを抜いて2018年から世界一の大会社にのし上がった。
 だからアマゾンは夫婦二人の知恵とアイデアの結集で大きくなったと言ってよい。調停の前にはアマゾンの株式を二人で半々に分けるのではないかとうわさされた。日本円で約3兆8500億円は、離婚の慰謝料どころか感謝料の意味がありそうだ。

 女性だけでいうと、マッケンジーはこの慰謝料によって世界で三番目の大富豪になった。余計なおせっかいと言われそうだが、やっかみや週刊誌的な関心からこんなことを書いているわけではない。世界一の大会社であるアマゾンの動向はこれからの日本と日本人に大きな影響を与えるのではないかとみているからだ。
 アマゾンが25年前に書籍のインターネット販売の会社を立ち上げた背景には、マッケンジーの本好きがあったとされる。好きなだけでなく、自らも小説を書いてアメリカン・ブック・アオード(米国図書賞)を受賞したこともある。
 こんなオシドリ夫婦がここにきて離婚した背景には、ジェフが取り扱い品目を本から、あらゆる物販に広げたいと路線変更に踏み切ったことがありそうに思われてくる。それはもう妻マッケンジーには理解できず、面白くももない分野だ。というわけでジェフとマッケンジーは離婚を決断したとみることができる。

 案の定、昨年1月に離婚を発表し、7月に正式に調停が成立するや、ジェフ・ベゾスは新たに宅配専用のバン型電気自動車10万台の発注を発表した。それも電気自動車のベンチャー企業にアマゾンが投資して、事実上、アマゾンが自らも電気自動車を製造するといっても過言ではないほどの熱の入れようである。
 ジェフ・ベゾスの日本でのe委託販売については日本は相当に警戒しなければならないと思う。

 アマゾンがその富を日本から強奪したというわけではない。アマゾンは同じようなインターネットによる書籍販売を世界中で展開している。それは その通りだけれども、インターネット解禁からの25年のアマゾンの繁栄ぶりは、ものの見事に日本経済の弱体化、莫大な借金の積み上げと対をなす。
 日本国民が一生懸命に貢いだお金を、アマゾンがそっくりいただいたようにみえる。因果関係ではないにしても、これほど明らかな相関関係はない。
 同じこの25年間もの間、日本が政権は代われども、なすすべもなくインターネットの餌食になってきた。
 これは一体全体、どうしたことか。

第2章 元禄から320年の老舗 大沼百貨店(山形市)が消えた
突如解雇されて路頭に迷う従業員200人。地方経済が土台から崩れる

 この原稿を書いている間にも悲しいニュースがあった。
 わたくしの郷里の山形県で県都山形市の七日町で、江戸時代の元禄年間から320年間、商いをしてきた大沼百貨店が破産した。2020年1月末の仕入れ先500社に対する4億円の支払いができなくなり、自己破産を山形地裁に申請したという。
 従業員は1月25日に召集され、その場で翌26日の全員解雇が言い渡された。およそ200人が厳寒の冬に路頭に放り出されたのである。県や市の行政機関が救済に立ち上がっているが、これほど非常な倒産にはお目にかかったことがない。

 大沼百貨店は元禄年間、西暦1700年の創業で、三越などとともに日本では三本指にはいる老舗の百貨店だった。これで山形県は県庁所在地に百貨店がない日本で唯一の県になる。
 経営者はあっけない倒産の理由として昨年の消費税率10%への引き上げ後から売上が一割りも落ち込んで、支払いがショートしてしまったなどと記者会見で語っている。だが、これまでの経緯を振り返ってみると、そのような簡単な話ではないようだ。
 大沼百貨店のこれまでの最高の売上は1993年2月期の179億円。ここにも米国がインターネット戦略を発動された年をピークに、じりじりと経営を悪化させてきた実例がある。2019年2月期の売上は三分の一の74億円にまで下がって、そこに消費税率10%アップに伴う買い控えがきて、ついに資金繰りがつかなくなった。

経済の専門家らはそれぞれの立場から百貨店というビジネスの業態が、時代遅れになってきたとか、ネット社会への対応が遅れたなどと評論している。それはその通りだとして、もっと大きく地球規模で経済の浮沈を観察すれば、ここにも日本の富がアメリカ資本に奪われて、次第に余裕をなくしてきた構図がくっきりとみえる。
問題は大沼百貨店ではなく山形県の県民の窮乏であり、しかもそれは山形県に限らず日本中が抱える問題である。大沼百貨店の倒産の根は深くて、同様な地方の中小零細企業の倒産、破綻のドミノ現象が続くのではないかと懸念される。

 日本国民から富を吸い上げているアメリカのネット資本は、アマゾンだけではない。
ビル・ゲイツのマイクロソフトは依然として世界で二番目の大企業だ。わたくしたちはマイクロソフトのワードやエクセルを使わないではメールの1本も遅れない。
 米誌フォーブスによれば、世界の10企業と大富豪には、アマゾン、マイクロソフトのほかにもソフトウエアのオラクルのラリー・エリクソン(7位)、フェイスブックの創業者マーク・ザッカーバーグ(8位)、検索エンジンのグーグルのラリー・ペイジ(10位)と、5人がネット長者として名前を連ねている。
インターネット社会に組み込まれたわたくしたちは。これらのアメリカのネット資本になにもしなくても使用料を払わされるであろう運命にある。
 心配なのは携帯という新しい情報通信費にまで苦労するようになった底辺の日本国民が、これからの支払いにどこまで耐えてゆけるかどうかだ。
そしてその先にはどんな暮らしが待っているのか。

 アメリカのネット資本にとっては日本政府が負債を抱えようと、日本の中小零細企業が資金繰りに往生しようと関係のないことなのだろう。
アマゾンは日本全域で物販を扱うe委託販売の準備を着々と進めている。すでに日本列島で地理的にもっともふさわしいと思われる拠点に在庫管理と宅配の拠点のための倉庫を設けた。アマゾンにしてみれば、便利で利用価値があるとお考えなら使ってくださいとまずは低姿勢で営業を始めている。
 これまでの25年間に日本がアメリカのインターネット戦略に敗れて莫大な借財を抱えているところに、いわば第二波ともいうべきアマゾンの物販攻勢がもう始まっている。日本の富はそこにまだ残っているとにらんでのことだ。
 アマゾンのCEOジェフ・ベゾス氏は離婚調停が終わるや、宅配のためのバン型の電気自動車10万台発注を発表した。二酸化炭素を排出しない環境重視の電気自動車でブランドのイメージアップを狙ってのことだというが、その自動車会社にも投資もして、事実上、自社で電気自動車を製造する熱の入れようである。新たな物販の流通路線に本腰を入れていることの証しだ。
いずれ東京の道路でも、沢山の宅配をもっとも効率良く届けられるようにプログラミングされた自動運転のアマゾンのバン型電気自動車が走り出しても不思議はない。
 日本人はすでにこれまでは要らなかった携帯が必需品になり、そのための費用が増えて生活費を圧迫して買い物もままならなくなっている。 日本経済の財政赤字、国民の窮乏を重ね合わせて、事態を直視して考えなければならないときがきた。

第3章 日本が連戦連勝した元寇での戦いに 今こそ学ぼう
ひるむな。地の利を生かせ。とことん備えよ。攻撃こそ最善の防御なり

 日本が二度にわたって外敵に襲われた戦いとしては、第一波の文永の役(1274年)と弘安の役(1281年)の蒙古襲来が知られている。
 ころは鎌倉時代の中期、鎌倉武士たちはいかにしてこれら外敵と渡り合ったのだろうか。時代が違うし、戦法も異なる。それでもアマゾンが繰り出してきた第二波の流通戦略から思い立って、元寇を調べてみたらこれが面白い。とても示唆に富んでいる。
 アメリカのインターネット戦略に対して20世紀末から21世紀にかけての日本は連戦連敗だが、今からおよそ750年前の蒙古襲来のときはなんと連戦連勝だったのだ!

 当時のモンゴルはモンゴル平原から中国大陸、東アジア全域を支配する世界最大、最強の国だった。それに睨まれた島国の小国日本はひとひねりだろうと思われた。少なくとも総司令官の元朝皇帝、フビライ・ハーンはそう確信してジパングの金銀財宝の山が届けられるのを楽しみにしていた。
 ところが第一波の文永の役から、鎌倉武士は意気軒昂、モンゴル軍と朝鮮半島の高麗軍を圧倒した。モンゴル軍の大型の軍船900隻のほか、ほぼ同数の小型の船舶で襲来した大艦隊を、わずか二週間ほどの交戦で撃退したのである。
 対馬、壱岐の島でも全滅はしたけれどもしぶとく抵抗したし、博多湾に到来して上陸したモンゴル兵に対しては、鎌倉武士が得意とする弓矢で圧倒して、内地深くにほとんど入り込ませなかった。
 源平の合戦からまだ日が浅く、当時の鎌倉武士には武士の美学が生きていたらしい。武将にとって先陣をつとめて戦果を上げることは、なによりの勇気の証しであった。得体のしれない格好をしたモンゴル軍に対して先陣を争って攻撃をしかけた。敵がひるむような動きををみせれば結束して、夜襲や総攻撃を厭わなかった。
 日本の武士の思いがけない戦意の高さに、モンゴル・高麗合同軍は度肝を抜かれたようだ。わずか二週間、もみ合っただけで戦意を失って引き揚げて行ってしまっった。大変な大戦果である。

 当時の戦争は無慈悲なものだった。首級の取り合いである。離島に取り残されたモンゴル兵は包囲されて食糧もなくなり、全滅した部隊もあった。
 逆に日本が負けていたら、、日本列島の武士階級はみな殺しにされ、いまごろわたくしたちは中国語かモンゴル語を話していたかもしれない。その強さは横綱にモンゴル出身の力士しかいなくなった近頃の相撲をみれば想像がつかないではない。

 早馬で戦況を知らされた京都の公家たちも、鎌倉幕府の総大将、北条時宗もホッと安堵した。しかし名誉を傷つけられた元朝の皇帝フビライ・ハーンはこんどはどう出てくるか。このまま黙って引き下がるとは誰も思わなかった。

 七年後の1281年六月、文永の役を上回る大艦隊が攻めてきた。フビライ・ハーンが満を持して準備した弘安の役である。こんどはモンゴル軍と高麗軍合同の東路軍、それと中国南部から調達した江南軍の二艦隊の編成だ。
 東路軍は前回の文永の役とほぼ同じ大型の軍船900隻ほどの規模だが、南方で編成した江南軍は軍船だけで4400隻もあった。弘安の役は実に文永の役の実に五倍もの陣容で日本に迫ってきた。当時の世界最大かつ最強の艦隊である。

 もはや絶対絶命かと思われたこの戦いで、なんと日本の鎌倉武士はまたしても勝利したのである。さすがに戦闘開始から三カ月もかかったけれども、元朝の大艦隊をよく撃破して、領土を奪われることもなく撤退させることに成功した。

 モンゴル側は先に到着した東路軍が、江南軍と合流する約束だった6月15日の前に先駆けを狙って太宰府を攻略しようと先走って、日本側が備えていた防塁などに阻まれて本格的な戦いの前に痛手を負うという戦略上の失敗があった。
 敵失だけではない。兵力にものを言わせて上陸した何万もの江南軍が、こんどもまた鎌倉武士の旺盛な戦意の前に敗北を重ねて、孤立して多数が戦死したり捕虜になった。ほとんどあり得ない日本軍の戦勝が相次いだ。そこにこんどは大しけが海上のモンゴル軍の軍船を襲い、係留中の軍船が接触したりして多数が破損、あるいは沈没してしまった。
 モンゴルの大艦隊の戦意を失わせた悪天候が、今でいう台風であったかは明らかではない。しかし季節は夏、三カ月もの間にはあったとしても不思議ではない。慣れない海で、モンゴルの大艦隊はしけにもまれて互いに衝突しては壊れ、座礁する軍船は数え切れず、その痕跡はいまでも海底に残っているほどだ。
 これが”神風”と人々に膾炙されて、日本人の神話になった。

 しかし近年の研究ではむしろ鎌倉武士の果敢な戦意が評価されているようだ。
 実際、第一波の戦いを教訓に、鎌倉幕府が九州から関西に至る御家人らを総動員して、再度の襲来に備えて九州北部の海岸線に延々と築いた。上陸してきたら、落とし穴に落として倒れたところを攻め、それでも攻め進んできたらそこで弓矢で射殺す石垣を築いたのだ。防波堤は現在も蒙古防塁とよばれて今も 残っている。
 銃もない時代のことで、飛び道具としては弓矢が重宝されて、実際の戦闘でも矢で軍功を上げたことが記録されている。その先には弓矢の得意な武士が松の木に潜んで狙い撃ちだ。河口や海中には簡単には軍船が接岸できないように乱杭を立てた。考えられるありとあらゆる工夫がこらされたのである。

 鎌倉幕府の北条時宗は、戦争が万が一、長期におよぶことも想定して、寺社の年貢米まで供出させて備えを固めていた。さらに鎌倉幕府は援軍6万騎を九州に向けて送りつつあった。
 この援軍がなんと太宰府に到着する前に、モンゴル軍は尻尾を巻いて撤退してしまって、戦うこともできなかったというのだから天晴れ!劇的な勝利というほかはない。

 少し詳しく元寇について書いた。
 当時とは時代が違う。乗り物は戦車ではなく馬である。銃もなく、飛び道具は弓矢だけ。いざとなれば肉弾戦で互いに首級の取り合う血生臭いものだった。
 これにたいしてインターネット時代の今日では人を倒すどころか、「ハイ、便利ですよ、楽しいですよ」「これで競争相手を出し抜きましょう」と楽しく、役に立つ商品の競争である。商習慣からも自由競争の経済原理と法律上からも、ほめられこそすれ非難される筋合いはない。

 それでも連戦連勝した鎌倉武士のひたむきな戦いぶりには胸を打たれる。戦いに備えてのとことんの下準備、備えにも感動した。
アメリカのネット資本との戦いに敗れて、日本が日本でなくなりかけているいまこそ、わたくしは学ぶべきものがあると思った。

第4章 「ひろしくん 誕生」

日本の暮らしの物流が関ケ原

 日本がこれまでに何もしてこなかったわけではない。出足こそ遅れたが、政府も企業も思いつくありとあらゆる手を打ってきた。それでも負けた。断崖絶壁まで追い詰められた。
 そこにアマゾンは第二波の追い打ちをかけてきている。はね返して挽回する方策はあるのだろうか。元寇のときとはまったく逆どころか、第一波ですでに刀折れ矢尽きてしまっているほどの劣勢だ。
 日本はいまだかつてない危機のときを迎えている。
 それでも日本と日本人は再び栄光を取り戻さなければならない。日本のためばかりではない。日本と日本人の存在は世界の宝であり、未来の世界を牽引して行く存在でなければならないと思う。

 いよいよ「ひろしくん」の登場だ。
 わたくしは右翼でも左翼でもない。ただ日本に生まれ、日本が好きなだけの一介の物書きである。
 このような国がぼろぼろになってゆくのを座して見てはいられない。
 2019年から2020年の正月にかけて、沈思黙考して、どこかに反撃の手がかりはないものかとあらゆるデータを並べ、点検した。そこから浮かんできたのが「ひろしくん」のイメージである。
 なにがなんでもアマゾンとアメリカのネット資本連合軍に勝たなければならない。敵は第一次のときよりも何倍も強く、強大になっている。文永の役よりも5倍もの軍船で襲ってきた弘安の役のモンゴル軍のようなものだ。
 誰もが勝ち目はないと思うだろう。しかし鎌倉武士は周到な作戦を立て、考えられるありとあらゆる備えでこれを撃破したではないか。
 神頼みはあり得ない。神風は吹かない。敵は光のスピードで駆けめぐるインターネットで武装している。そしてアメリカのネット資本はそれぞれが 特許の塊のような商品をグローバルに販売して、使う度に利用料金を要求してくる。このままでは日本と日本人は骨の髄まで吸い取られてしまう。
 絶望的なまでに不利な情勢にもかかわらず、勝たねばならない。

 結論は単純といえば単純なものだった。 
 そのためには「ひろしくん」は誰よりも賢くて、力があって、それでいて腰が低くて人当たりがよくなければならない。簡単にいうとアマゾンよりも使い勝手がよくて、ご近所にいなくてはならない存在にならなければないということだ。そんなツールはあるだろうか。
 あれこれ思い巡らせるうちに、ネット広告会社の敏腕な営業マンのイメージが浮かんだ。
 これだ。いつの世でも広報宣伝は大切だ。ここから名前が固まった。
 広報のプロらしく広紙君にしよう。誰にも親しみが湧いて、可愛がられるように「ひろしくん」と呼ぼうではないか。

 アマゾンにも負けないような役に立つネット広告を武器にするというのは、言うは易く、途方もなく難しい。そのプログラミングも維持管理も大変だ。プロジェクトの最大の課題だろう。
 しかしながら日本のいわば存亡のかかった大事業である。日本の存続のための出費だと思えば、コストのことは自ずから解決するのではないか。お国のためだけでなく、投資すれば何倍にもなるかもしれない事業なのだ。

 こうした事業は人まねでは誰にも相手にされない。その意味でひろしくんが運営するネット広告は、これまでになかったオリジナルなシステムのものになる。ひろしくんの最小の守備範囲は隣り近所で、とても狭い。都会ならば丁目単位で、地方の市町村では大字(おおあざ)くらいのエリアから始まる。
 ひろしくんは人と人が暮らす生活範囲を、ネット時代にふさわしい便利なものにして、そこから日本経済を元気にしたいと考えている。そこは昔からの知人、友人の顔が浮かぶ暮らしの基盤だ。
 狭すぎてアメリカのネット資本も入り込めないところ。だからこそ可能性がある。そこにインターネットの技術を投入することによって、日本経済を底辺からできるのではないかと、ひろしくんは考えた。
 もちろん、ネット広告だから、その気になれば、ご近所の寄り合いのお知らせのレベルから、市町村全体、県の一部地域、県下全域、さらには全国の観光客誘致を狙った広告まで、顧客の希望とふところ次第で自在に掲載することができる。小さく産んで、大きく育てるのだと、ひろしくんは密かに目論んでいる。

 広告料金については、親しみやすい値段で提供しなければなrないだろう。ひろしくんのホームページのトップ広告はしばらくはプロジェクトの周知に当てられるが、次のパソコンやタブレットで見るトップページの半分の大きさのものは、1日1000円、その次の4分の1が同500円、名刺大の広告が同300円程度を想定している。
 一つひとつの広告単価は安い。しかし全国の方々が、いたるところで「これは安いぞ」「便利だぞ」と使い始めれば、積み上がって莫大な金額になるはずだと、ひろしくんはソロバンをはじいている。これがネットビジネスのマジックだ。
 大きな日本経済の底辺は広く、深く、そこにはまだまだ大きなジパングのゴールドが隠れている。アマゾンがここに目をつけたのは正しい。アマゾンが先に日本の暮らしの物流を制するか、それともひろしくんたちが制するか。日本と日本人の命運はここにかかっている。

 アメリカのネット資本は同じではなく、それぞれ特色ある商売をしている。
 マイクロソフトはインターネットの情報通信の分野を得意として、膨大な国際特許を積み上げた。知っている人は知っていると思うが、パソコンはマイクロソフトのウインドウズで動いている。日本円で数万円するウインドウズのソフトを買わなければ、パソコンは動き出さない。創業者ビル・ゲイツは引退したけれども、寝ていても莫大な特許料がころがり込む。国際特許の有効期間は20年だ。数年に一度、ソフトを更新するから特許も更新されて、事実上、永遠に富をもたらす。
 2018年からマイクロソフトに代わって世界最大の企業になったアマゾンは、情報通信というよりは書籍という物販を扱う会社で、アメリカのネット資本の中では異色だ。しかしネット以前のアナログ時代のものさしで見れば、むしろ普通の会社に近い。だから一見、複雑な宅配ビジネスもこなして日本最大の本の取り扱いを誇るまでになった。

 そして今度は本だけでなく、生鮮食料品からありとあらゆる物流に目を向けてきた。日本に進出したのは遅いほうだったけれども、急速に地歩を固めて、日本の出版界の主導権を握ろうという勢いである。
 日本列島の宅配ネットワークも本のために用意した倉庫に加えて、新たな拠点を設けて、ナショナル資本の楽天にコスト競争をいどみ始めた。主要な宅配会社の手数料880円を、半値以下の404円でオファーしているという報道もある。三木谷楽天CEOの「宅配料ゼロ発言」は、裏の裏まで見なければならないようだ。
 もしアマゾンに日本経済のインフラまでを握られたら、いよいよ日本人は足腰が立たなくなるだろう。わたくしとしても、ひろしくんプロジェクトが実現していたら、遠距離の宅配の案件は楽天につなぐようにと大号令をかけるところだが、残念である。三木谷CEOには、無尽蔵のお金のあるアマゾンに押しつぶされないよう注意して、なんとしても頑張ってくださるよう応援のメッセージを送る次第だ。

 さて読者の皆さんには、ひろしくんのイメージが浮かんだだろうか。
 まとめてみると、ひろしくんの人となり、役割をつかむには、

  1. アメリカがインターネット戦略を発動した1993年から日本が経済戦争に敗れ続けて、借金まみれになってしまったこと
  2. 日本経済が落ち込むのと反比例して、アメリカのネット資本が世界中から莫大な利益を積み上げて、それぞれが日本の年間の国家予算ほどの巨大な企業になったこと
  3. アメリカのネット資本はこれにあきたらず、新たに日本経済の物販の流通に触手を伸ばして、日本から富を絞りとる第二波の攻勢に出ていること

 ―以上の3点について、知っていただきたい。

 日本のこの哀れな現実を直視するとともに、手をこまねいていたらどのような未来が待っているかの見通しについて、少しでも思い当たるところがあるとおっしゃる方は、老若男女を問わず、どなたでもあなたは「ひろしくん」になることができる。

 目下、「ひろしくん」ののぼり旗のデザインをあれこれ思案しているところだ。
 「ひろしくん」になって、日本の再建、再興に力を貸してくださる方は、「ひろしくん」と書いたのぼりを掲げていただきたい。構想の段階だが、のぼり旗 を購入していただくと同時に「ひろしくん」として登録していただき、ビジネスを始められるようなモデルを考えている。
 当初は創業記念の景気付けに、ひろしくん運動に1万円の登録費用をお支払いくださった方には、のぼりの他に1万円相当の無料広告掲載権を提供する恩典を差し上げる、などのサービスが検討されている。

 周知徹底の広報宣伝活動が順調に進んで、1年ほどで全国に1万本の「ひろしくん」ののぼりが翻るならば、日本らしい日本の存続に光明がともるのではないだろうか。それから3万本、10万本・・・と増えるに従って、人から人へ、ひろしくんの素晴らしさが伝えられ、日本経済の底辺からの 復調が実感されるようにもなるはずだ。もちろんこれは机上論の願望である。
 その時に初めて、ひろしくんが前代未聞のネット広告システムを掲げて、借金で首が回らなった日の本経済を、日本人の暮らしの底辺から建て直しを図ろうと立ち上がったことの理由が分かっていただけると思う。

 ただ、ひろしくんの最大の武器である魅力のネット広告システムは、出来上がるまでにしばらく時間がかかりそうだ。そこで志ある方々には、それぞれに「ひろしくんののぼり旗」を手作りしていただくことを考えている。日本列島のそちこちに手作りの「ひろしくん」の手作りののぼり旗がひるがえって、国民の間に自力更生の機運がみなぎってきたら、「ひろしくん」の「手作りののぼり旗コンテスト」のようなものを開催したい。正規ののぼり旗のデザインがそこで決定されるようなことがあれば万々歳だが、夢物語だろうか。

 少なからぬ人々が、アメリカの強大なネット資本に歯向かうことなどできるはずがない、無駄なことはおやめなさいと冷笑するかもしれない。
 笑わば笑え。わたくしは古き良き日本の文物を、なにがなんでも末永く、子々孫々守り伝えたいのだ。日本はもはやこれ以上のダメージを許すことができない。
 日本の文化はインターネットの粗野な利便性に負けはしない。いざ、御用聞きの「ひろしくん」ののぼり旗を掲げて立ち上がろうではないか。
 日本が消える国になるのか、それとも再び繁栄を取り戻す国になるのか。時間的な猶予はあと2~3年しか残っていないだろう。

 

第5章 「ひろしくん」ののぼり旗1本であなたも起業家

女性の仲良しグループ、町内会にも向いている

 ひろしくんには誰でもなれる。老若男女を問わない。人のお役に立てることを希望している方、ボランティア活動をしている方も向いているだろう。「ひろしくん」ののぼり一本で起業しよう。
 大学生や高校生がアルバイトを兼ねて、「ひろしくん」の旗を立ててくれるのは頼もしい。社会勉強になるだけでなく、ネット時代になって様変わりの世の中の流通の仕組みを体感して、卒業後の就職先を考えるヒントにすることができるだろう。
 一人では大変だろうから、家族で話し合って一家でひろしくんになるのもいいかもしれない。おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん、家族がみんなで役割分担だ。どうですか。一度、みなさんで話し合ってみてください。なにかやることがあれば、テレビやスマホに振り回されないですむし、身体を動かすから健康にもいい。人のお役に立って、しかも健康にいいというのは一番です。

 そういう意味では、女性の仲良しグループに向いているかもしれない。パソコンが得意な人もいれば、全体をとりまとめるのが上手なひともいる。用事があって忙しいときは、だれかに代わってもらえるというのもムリがなくて円滑に長続きするような気がする。
 女性陣から要望があれば「ひろしさん(広紙さん)」ののぼりをいつでも制作するつもりだ。いまは手作りののぼり旗が許されている段階だから、皆さんで話し合ってデザインしてくださってもいい。

 同じようなことが町内会についてもいえる。町内会は日本列島のどこでもまだまだ健在だ。しかも現役時代に活躍した役者がそろっている。ひろしくんは狭いご近所での小間使いが得意だから、都会だったら1丁目単位で「ひろしくん」を掲げてはどうだろうか。地方だったら、字単位でもいいかもしれない。
 なにしろ数日から一週間後のイベントのお知らせだって、こまめにネット広告してくれる。新聞のチラシをその日に携帯で、その場で確認することができる。「ひろしくん」はなんといってもネット広告の敏腕な営業マンがモデルなのだ。

 既存のスーパー、ファミマ、郵便局も「ひろしくん」を利用することができる。法人として権利を購入することになるだろうけれども、そしたら「ひろしくん」の旗を掲げることができるとする。商品の出前のニーズがたくさんあるならば、専用の「ひろしくん」カウンターを設けてもいいだろう。
なにも自社でそのための人材を確保する必要はない。近所の「ひろしくん」を掲げた人やグループと契約して、忙しいときに出張してきてもらえばいいのである。

 インターネットというのはデジタル情報ならば地の果てまで一瞬にして運ぶことができる。なにしろ1秒間に地球を7周り半の光のスピードだ。ところが物はいっさい運ぶことができない。
 インターネットのデータを受信するパソコンのその先は、結局、人や車のお世話にならなければならない。
ここ数年、宅配の人材が不足してコストが値上がりしているのは、日本中がそれだけネット化してきたことの反映だ。これからますますこの傾向は強まることが予想されている。

 高齢化もこれに拍車をかけている。歩行が難しくなったら、買い物も食事も大変だ。宅配が便利になってきたのをこれ幸いと、電話で注文をする人が増えているという。
 このようなときが「ひろしくん」の出番である。「ひろしくん 近所」のキーワードで検索すると、運んでくれるひろしくんが見つかるから、電話でお願い、と頼むのだ。

 ここで心配なことがある。ご近所だから顔見知りだったりしてお金をいただきにくい。ということで宅配の費用を割り引いたり、おまけしてしまうことがあると困るのだ。
 「ひろしくん」には日本経済を底辺から浮揚するという重大な任務がある。ボランティアではない。小さな小間使いでも仕事は仕事、運営本部に報告するとともに、いずれは消費税や収入に対するそれに伴う国税、地方税を払わなければならないお金だ。
このような話題が新聞やテレビでどんどん報じられるようになれば、プロジェクトは軌道に乗っているという証しだ。おまけされる側も「それはいけない」と意地を張ったりして、笑い話になればうれしい。

 このような「ひろしくんプロジェクト」が本格的に動き出すためには、独自のネット広告システムの起動がどうしても必要だ。アマゾンなどはどうでもいいが、「ひろしくん」はほかのどんなソフトよりも魅力的で、便利で、使わないではいられない広告宣伝のツールでなければならない。
 ご近所の御用聞きから仕事を始めるひろしくんの仕事場は、都市部では一丁目、二丁目単位からだから、そんな地図が用意できるかどうか。プログラミングと顧客からの要望を反映させる作業は半端なものではなさそうだ。どなたに頼もうかな、とソフトバンクのWeworksの一つを訪ねたのは、新型肺炎の気配などなかった2019年の12月だ。
 新宿にオープンする前で、母校上智大学の真ん前のビルに入っているWeworksを案内していただいた。ソフトバンクが買収したアメリカのWeworksについては不景気な情報が飛び交っているが、東京では入居希望が大変に多いそうで、まさにこれからの仕事場の雰囲気がただよっていた。なるほどこれがネットビジネスのプロフェッショナルかと思わせる若者たちが、それぞれの部屋でパソコンに向かっている。
 少しは話を聞いてみたいものと、アイコンタクトをしてその切っ掛けを作ろうとするが、それができない。休憩している人までが疲れているのか、あるいは何か考えごとをしているのか、視線が宙を漂っている。わたくしなどとはまったく別のライフスタイルの若者たちだった。
 ひろしくんの望むネット広告システムは、このようなプログラマーらによって組まれて、運営されるに違いない。これはこの世界の専門家にお願いするほかはないと直感した。
 この構築にどれほどの時間とコストがかかるのかは分からない。最初から立派なものを願うのはあきらめて、シンプルなものから時間をかけて改善しながらいいものに仕上げていくことになるに違いない。

 いったん、ひろしくんがネット広告できるようになれば、その活動範囲は格段に広がる。顧客に宅配のような依頼ばかりでなく、起業家が含まれてくる。「ひろしくん」に広告を掲載して、なんらかのビジネスにつなげたいと考える方々だ。
 例えば、日本に出稼ぎにきているベトナム人の奥さんが料理が得意で、評判がいい。そこで料理店を出したいと考えたけれども費用がないとき、 ひろしくんに頼んでネット広告を出してもらう。おいしそうな料理の写真入りの広告だ。そうするとご近所から電話やファクス、メールで注文が入って店舗なしでも回転するようになるかもしれない。
 これは都市部にありそうなケースだが、住宅街でケーキ作りのプロ級の腕前の方が、お弟。子さんたちを集めて大量のケーキを作る講習会があるとする。そのケーキが売り物になるレベルであれば、これまたひとしくんに広告を出して、予約を受け付けるということができそうだ。
 こういう案件は、知恵をしぼればいくらでもある。
 課題はこうした小回りのきくネット広告システムができるかどうか。その管理がコストに見合うかどうかだろうが、そんなことは言っていられない。

 できるところから前に進むのみだ。
 あまりアメリカのネット資本を怒らせて、ネットの特許を使わせてもらえなくなると、ネット広告のプログラミングにもさしつかえる。ひろしくんはインターネットを敵に回してなどいられない。アメリカのネット資本の特許も技術もみな使って、誰もみたことのない、そしてどうしても利用したい、使いたい武器を持たなければならないと思う。

 それと大事なのは、一人ひとりの国民が危機感を共有して、ひろしくんに協力していただくことだ。
 元寇で鎌倉幕府が勝つことができたのは、当時の国民が一致団結してすべての力を戦いに投入することができたからだった。それが鎌倉武士に尋常ならざる高い戦意を持たせ、モンゴル兵を驚かせ、ひるませた。これが勝因だった。

 原稿を書き終えたら、こんどは顧問弁護士、ファンドマネージャー、篤志家、ネット広告の専門家らとの打ち合わせだ。読者の皆さま、いずれお目にかかりましょう。

 

おわりに

 果たしてどれだけの日本人がこの本を読んで、日本と日本人の未来を考えて下さるだろうか。
もしかすると多くの方はスマホで忙しくて、相手にもしてくれないかもしれない。携帯とともに育った若者たちは「世の中、便利で楽しければいいではないか。古い日本の伝統や文化はこの際なくなってくれればすっきりする」というかもしれない。
 しかしわたくしはそうは思わない。歴史や伝統あるしきたり、文化こそが、日本を日本たらしめている要素であり、日本人を民族として結束させてくれる大切なものだ。それがなくなったら、いつ日本が地球儀から消えても誰も気にもかけないだろう。
 ちょうど20年前、わたくしは「ネット敗戦 IT革命と日本凋落の真実」( KKベストセラーズ刊 2000年7月刊)を出版した。アメリカが冷戦が終わって不要になった軍用のインターネットを民間に開放したいきさつ、それが地球規模の「ビジネスツールになって、結果的に商社システムで繁栄していた日本経済に大打撃を与えたことを報告した本である。そこでは「IT革命は社会革命であると」とか「民族の歴史を超える時代がきた」などと格好のいいことを書いた。そのように思わせる現象も実際にあった。
 しかしながら日本がそれから20年以上もインターネットの消化に苦戦して、ここまでへたるとは想定外だった。国境を超えた世界市民もいいが、それは母国がしっかりしていればの話だ。自分の国や出身の民族を誇れないようでは、まともに相手にしてもらえないだろう。
日本のような輝かしい歴史と文化を誇る国が、虫けらのような扱いを受けるみすぼらしい国になっていいはずがない。なんとかして緊急に軌道修正しなければならない。安保条約の同盟関係に波風を起こさないように合法的にアメリカのネット資本による富の流出にブレーキをかけ、かつ日本経済を浮揚させる秘策はないものか。
 2019年から2020年にかけて、わたくしはこの課題に取り組んだ。本書はその報告ともいえる。
 内容については、電子出版社eブックランドで、ほぼ書き上げたところから一般に公開するという前例のない手法をとった。一日でも早く、一人でも多くの方に、日本の置かれたかつてないピンチを知っていただきたいと思っての非常手段だった。
 2月3日の節分の日に、序章から1~3章までトップページから読めるようになった。思索をかさねて書いた文章をアップできたのでうれしかった。その夜の豆まきには力が入った。
 スーパーで買った袋には「鬼打ち豆」とある。その日のオニは、わたくしの頭の中で、日本を追い詰めたアメリカのネット資本になっていたらしい。ぴったりではないか。「鬼は外!」と張り上げる声に思わず力が入った。
 まいた大豆を拾って食べてみた。おいしい! 昔 子供のころに食べた大豆の香りがして、滋味深い味がする。どこの豆だろうと「鬼打ち豆」の袋をみたら、製造はでん六、山形市とあるではないか。やっぱりだ。やや小粒な大豆は山形県で昔から大事に育てられてきた秘伝の豆なのだ。
 世界中を見渡しても節分のような子供たちの健やかな成長を祈って楽しむ風習はない。豆さえも地元の人々に長い間、慈しみ栽培してきた貴重なものを使う。利便性だけを追うネット資本の経営者らには到底、分からないだろう。オニは外ーっ!

 ここまでで筆を止めていたら、3月に入って楽天の三木谷浩史会長兼社長がテレビ会議で、「日本中がアマゾンの箱で埋め尽くされてしまう」と警告を発したことが報じられた。
 ネットと日本の文明文化をめぐる攻防は、宅配というビジネス戦線からいよいよ火を噴き始めたようである。

横山三四郎
2020年3月9日

 
 
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