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世界遺産潜伏キリシタン 特設ページ
ピタウ先生と巡る五島列島ルポ
第1回 
枝川葉子(ピタウ先生を語る会代表)

先人の苦しみ、殉教の上に、私達の信仰があることを考えよう

 2009年7月21日から3泊4日で五島列島の教会群を巡礼しました。世界文化遺産に登録される9年前、上智大学のピタウ先生のお誘いで実現した忘れられない旅でした。

 長崎に着いた初日は、浦上天主堂で長崎巡礼の機会に恵まれたことを感謝し、また旅の無事を祈りました。長崎大波止港からフェリーで、福江島へ。船内にもシスターや神学生らしいかたの姿があり、ピタウ先生を見ると皆さまがご挨拶に集まっていらっしゃいます。長崎が日本での第二のふる里とおっしゃるピタウ先生ですが、こんなに長崎の方に親しまれているのに感激しました。

大浦天主堂
「大浦天主堂に向かうピタウ先生の一行。ピタウ先生は右から2番目」

「私達は、生き方で周りのひとに信仰を伝えなければならない。愛の証し人となるのです」

 二日目は、まず福江島の堂崎天主堂からスタートしました。聖堂に入る前にピタウ先生のお話しがありました。「私たちの先輩達が信仰を守るためにどれだけ自分たちの命を捧げて生きていたか。その先輩達の苦しみ、殉教の上に、私達の信仰があることを考えましょう。私達は、生き方で周りのひとに信仰を伝えなければならない。愛の証し人となるのです。」
 この教会は長く厳しい弾圧を耐え抜いた五島キリシタン受難と勝利のシンボルだそうです。聖堂の中に入ると、ピタウ先生は一番前のベンチへ進み静かに祈られました。私達も五島キリシタンの殉教者と信者たちが力を合わせて材料を集めて立てたことを思いながら祈りました。

堂崎天主堂

マリア像
堂崎教会と、その横の緑の中にたたずむ白いマリア像

 2009年7月22日 堂崎天主堂の次に廻ったのは、水の浦教会で、こちらでごミサを捧げました。この教会は、日本二十六聖人に捧げられた教会で、1880年パリ外国宣教会ザルモン師によって創建され、その後1938年現在の聖堂が建設されました。

水の浦教会
「水の浦教会」

 ミサの前に、ピタウ先生は、ようやく信仰の自由が認められて信徒たちは喜びのうちに貧しい生活の中から労働奉仕、材木を売ったお金やレンガを寄付して建てられた歴史を話されました。
  大工の棟梁、鉄川与助についても、彼自身は亡くなるまで仏教徒で通したが、明治40年に手がけた木造の冷水教会が最初で、30ほどの教会建設に関わったとのこと。自然と共同体と日本の伝統を大切にし、それに調和した教会建築を心掛けたというその精神を学びました。

 「この地域の信徒たちが力を合わせて建てた教会で、キリシタンたちの思いとメッセージに心を傾けましょう。この教会と共同体の為にミサを捧げて、もう一度私たちは、日本での布教のことを考えましょう。
 私が日本に来た頃は、まだ第二バチカン公会議の前でしたから、キリスト教の話をするときに、あまり日本の文化や伝統を重んじてはいなかったのですが、第二バチカン公会議後からは、Inculturation、その国の文化を深く学び、それを尊重して、どのようにしてキリスト教との接点を見出すか、そのような研究、そして愛と努力を持って宣教するように教わりました。今日のミサで、その恵みにも感謝してお祈りいたしましょう。」

「日本に戻ってきて一番の苦しみは、毎年3万人以上の自殺者のいること。これは戦争と同じです」

 ピタウ先生は、1981年秋にヨハネ・パウロ二世の要請でローマで要職につかれ2004年に再び日本へ戻られました。そして一番ショックを受け悲しかったのは、この11年間に年間3万人以上の若者が自殺しているニュースでした。
「日本に戻ってきて一番の苦しみは、毎年3万人以上の自殺者のいることです。これは戦争と同じです。日本人ほど平和を愛する国民はいないはずです。子供と話す、信頼し合う、深い関係を築く、物を与えるのが愛ではありません。お母様の愛、お父様との信頼関係があれば決して自殺はしないはずです。今日はこの素晴らしい水の浦教会で、苦しんでいる子供達のため、その家族の為に祈りましょう。」 
 ピタウ先生は、水の浦教会で宣教師たちがいなくなった後、信仰を命がけで守ってきたキリシタンへの思いで、お話にも気持ちが入りたくさん語られました。

つづく

prof

ヨゼフ・ピタウ先生略歴:
1928年イタリア生まれ。カトリック教会大司教。52年来日。上智大学教授などを経て学長(1968-1981年)。1981年ヨハネ・パウロ二世の要請によりローマへ。法王庁立グレゴリアン大学学長、法王庁科学アカデミー事務総長などを歴任。2004年再来日、2014年12月26日イエズス会ロヨラハウスで帰天。

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国宝 大浦天主堂

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