ebook land 自力・自費出版サイト
1

古民家芸術ワンダーランド創出 特設ページ

top

旗揚げのごあいさつ

 電子出版社eブックランドは「古民家芸術ワンダーランド」の実現に向けて1歩を踏み出しました。8年前の東日本大震災の際、「ひまわりの種まき隊」を結成して福島県南相馬市で5次にわたる放射能除染活動を行って以来の社会貢献事業(SCR)です。

  弊社社長横山三四郎は、古民家は日本のみか世界的にも貴重な文化遺産であるとして保存活動に乗り出した一級建築士グループと意気投合。古民家を泊まれるように改修・移築して恒久的に保存するとともに、爆発的に増える外国人観光客の受け皿にする構想をまとめました。
 宿泊可能な古民家を、全国から移築して集めて、3~5年後に外国人観光客が集うテーマパークを東京近郊に創り出そうとする大きなプロジェクトです。下準備としてまずは全国の県市町村に残る古民家を改造して、各地にミニ・ワンダーランドを立ち上げます。

 これら地方のミニ・ワンダーランドが外国人観光客で賑わうように育て、「古民家芸術ワンダーランド」のネットワークを作ってテーマパーク創出の機運を盛り上げます。宿泊できる古民家ワンダーランドの誕生を世界に発信し、外国人観光客の来日をさらに拡大して国策に寄与することを目指します。
 観光庁は2020年の外国人観光客は4000万人、7000万泊と試算し、その10年後には6000万人が来日すると試算しています。もはや従来の発想ではこれほどのハイペースで増える観光客をおもてなしすることはほとんど不可能に近い。泊まれる古民家のテーマパークといういまだかつてない計画はこうして浮上しました。

 出版という言葉を扱って心の領域の仕事をしているeブックランドは、観光事業は最も平和なビジネスだと考えています。異なった意見の人が折り合いをつけて暮らしている日本、なかでも際立つ謙譲の作法は、日本人がプライバシーのない戸障子の木造家屋のなかで長い年月をかけて身に付けたものです。
 世界一の車を創り、世界一の列車を走らせる日本人は、普段はこのような開けっ広げの木造家屋のなかで平和に暮らしている。これこそが未来の人類が学ぶべき世界一のライフスタイルではないだろうか。外国の方々が日本に観光に来て、古民家に泊まってこのことに気付いていただければそれ以上の喜びはないと思うのです。

 外国人観光客が落としてくれる外貨も魅力ですが、こうした目に見えないメリットも宿泊できる古民家ワンダーランドには沢山あります。関係方面の皆さまには朽ち果てて消える一方の古民家の価値をもう一度見直して、役立ててくださいますよう切にお願い申し上げます。

電子出版社eブックランド
社長 横山三四郎

「古民家芸術ワンダーランド」設立準備室を設置

 eブックランドは関東地方の一級建築士グループとともに「古民家芸術ワンダーランド」設立準備室(室長、明石二郎一級建築士)を設けました。
 準備室ではコンセプトに賛同の地方自治体や有志の方々とともに、既存の古民家を活用してミニ・ワンダーランドのプランを練り、予算の都合をつけることになります。
 これらの一級建築士グループは、地方の古民家に手を加えて外国人観光客の宿泊施設として活用できるように改修したり、寝泊まりしている古民家を催し物のステージにも使えるようにするなど、全国に出張して必要な改造をほどこす準備を整えています。
 要請があれば現地に足を運んでの調査を行い、また古民家の所有者との土地の売買契約の締結まで有資格者を派遣して行います。コストのかかる依頼は有料です。

 関心のある方は、まず準備室の窓口の までご連絡ください。

「古民家芸術ワンダーランド」設立準備室では

  • 地方の「ミニ・ワンダーランド」の構築のためのコンサル
  • 宿泊できる古民家への改造、改修、移築
  • 古民家アート劇場に活用するための改築・・・

 についてご相談に乗ります。

 建築分野以外の「古民家芸術ワンダーランド」の構想に賛同してファンドを投じて経営に参加したり、広告を出したいとお考えの方と法人は、eブックランド問い合わせフォームの方に記入して連絡を入れてくだるようお願いいたします。
設立準備室は実務を遂行できる法人と業務提携して、監査役も設けた信頼できる株式会社のような組織にできるだけ早く移行したいと考えています。

古民家芸術観光振興ワンダーランド
3~5ヵ年計画 スケジュール

第1期:地方でプチ古民家ワンダーランド 3ヵ年(2019~2021)

☆日本の文化遺産である古民家を改築し、活用して守り、継承する。
☆ホームページを立上げ 芸術の分野は演劇祭、各種音楽祭、特産物販売etc.
  優勝して全国ブランドとなる。
☆全国都道府県の市町村に日本文化と観光振興のために参加・協力を呼びかけ。 
☆古民家芸術ワンダーランド構想を示し、イベントのひとつとしての
古民家を舞台とした古民家フェスティバルへの参加を促進。

☆古民家を宿泊施設やステージに改装する移築と改装については、ワンダーランド準備室の一級建築士グループが随時引き受ける。
☆古民家劇場のステージは一つの県内に複数あって競合してもよいとする。
ステージは小中高校から大学の演劇部の練習と公演に開放する。
泊まれる古民家は児童生徒の課外授業、修学旅行にも開放する。

☆都道府県レベルでの古民家フェスティバルを開催して表彰
◎それぞれの県での優勝の劇団、演奏家は全国フェス大会へ進出。
◎番組の広告スポンサー企業呼びかけ。
◎スポンサーの放映TV公募。 

第2期:東京近郊の古民家ワンダーランド完成へ 2ヵ年(~2023)

☆第1期3ヵ年(2019~2021)の間に、テーマパークとしての古民家ワンダーランドワンダーランドの立地を公募し、順次、移築を進める。
☆経営面から集客ができる東京、神奈川、千葉、埼玉が望ましい。
☆古民家を第1期3ヵ年の間に移築して2022年から全国大会フェスを開催。
☆外国人観光客なら見過ごせない日本有数の観光名所として広報宣伝活動。
☆有楽町から銀座にかけて全国の地方自治体の物販サテライト店が林立している。
古民家ワンダーランドの各県の古民家でもそれぞれの名物料理、特産物を販売。
ワンダーランドで全国の宿泊・観光情報が分かるようにする。

古民家劇場で地方の文化芸能を保存し維持・振興

  古民家ワンダーランド構想のコンセプトは、日本人の生活の知恵が詰まった古民家が、老朽化して急速に消えつつあることを危惧する大学の建築士でもある教授たちの間で生まれた。
 確かに消え行く日本各地の古民家を収集することには、それだけで意義があります。日本民族の生活の足跡だからです。その集成を展示して、維持管理することは、古い木造建築がほとんど失われつつある21世紀においては歴史と社会教育のための貴重な生きた教材であると思われます。

 日本の古い家屋の収集と展示としては、江戸東京博物館の分館として、小金井市の都立小金井市公園内に「江戸東京たてもの園」がある。しかしながらそこに移築されている建物の多くは上流階級の歴史的な建造物に軸足をおいていて、展示のみ。
 これに対して庶民が住みなしてきた古民家は日本列島の各地で、それぞれの自然の四季折々とともに工夫をこらして建てられてきた。それらは日本民族の足跡、生活様式を生み出した揺りかごであるとともに、建築の歴史そのものである。
 古民家ワンダーランドに移築される古民家は、農家などが実際に住んでいた庶民の木造家屋で、宿泊などに使ってこそ磨かれて輝く。そうした実際に利用されている姿にこそ重要な文化的な価値があるといえなくもない。

 とはいえ外国人観光客を呼び込むためには、楽しくなければならない。そこから古民家を演劇から洋楽、邦楽の演奏のステージとして活用する発想が生まれました。
 古民家はそれそのものが家族のステージでしたから、大型の古民家をステージに改修することは造作もないことです。普段は寝泊まりや食堂に使っている大型の古民家を横向きに開け広げれば、それがそのまま劇場の舞台。その前に食堂に使っていた椅子を並べれば野外ステージです。
 様々な形式の演劇に活用する発想が生まれます。室内楽の小規模な洋楽、邦楽の演奏から、数百人の観客を魅了する野外公演まで様々な演劇祭を開くことができでしょう。宮沢賢治の数々の作品など、古民家劇場で観てみたいものです。
連日連夜、たのしい公演が行われれば評判が評判を呼び、外国人観光客の中長期の滞在者も増えてゆくのではないでしょうか。

 古民家ステージは音楽のステージにもなります。こじんまりとした声楽から演奏まで個人から少人数のパフォーマンスには、木造の家屋の響きがいい音響効果を醸します。大きな茅葺き屋根の古民家の野外ステージは、ロックバンドのタイプによっては思いがけない感動を呼び起こすかもしれません。

 古民家はまたそれぞれの地域の自然とともにあって、人々が食事をしてきた食堂であり、レストランです。異なった地方から運ばれて移築された古民家で、その地方のオリジナルな料理と調理を、地元の熟練の主婦を招聘して行う料理の講習会、研究会は楽しいイベントになりそうです。
 もちろん素材は地元からの直送の品々です。一段と美味しい料理を楽しむことができそうです。お正月には日本各地の古民家でそれぞれの地域のお雑煮はいかがでしょうか。日本各地の県や市町村の観光部局に呼びかけることによって、これまた年間を通した各地の様々な名物料理の競演ができることでしょう。
 かつての日本は深刻な凶作と飢饉に見舞われました。このために為政者は非常事態に常に備えており、人々も保存食には知恵を凝らしてきました。インスタント食品横行するようになった反動もあって、こうした食材に人々の目が向けられるようになっています。

 石川県の能登半島の農家の民宿群「春蘭の里」が昨年2018年に1万3000人の観光客を集めました。全国からの修学旅行生などもふくまれていますが、外国人観光客も1800人にのぼりました。飾り気のないひなびた過疎の村の奇跡のような賑わいは、外国人観光客のニーズをうかがうヒントが潜んでいるように思われます。
 古民家の価値は21世紀にあっては高まるばかり。外国人、とりわけ欧米人の目には、この地上で日本の他にはどこにもないユニークでオリジナルな貴重な建造物として映るようになってきたようです。京都・大原の古民家に住むイギリス女性のベニシア・スタンリー・スミスさんもその一人で、いつの日か彼女に日本の木造家屋の魅力について語っていただきたいものです。

横山三四郎 記    
弊社社長よりの緊急提言

令和の観光開国で来日する外国人観光客のために、宿泊できる「古民家ワンダーランド」を列島各地に設けて分散するとともに、日本の文化と日本人のライフスタイルを知っていただきましょう。
待ったなしになったインバウンド対策に、社会貢献事業として取り組むeブックランドの横山三四郎社長は2019年春、各地の実情を取材してFacebookページでコラムを連載、5つの緊急提言をまとめました。

提言は関係方面に送って周知を図り、具体化を迫るとともに、eブックランドの利用者も読めるよう、以下にワードで再録いたします。9回に及んだコラムは最新の提言を冒頭にして、書いた順番とは逆に掲載になっています。

Facebook 連載ブログ(横山社長のブック革命Ⅱ)

カラスとともに起きて 36

古民家ワンダーランドって なんなん その9 提言

 

 なんなんシリーズも長くなった。提言の形で結論を出そう。

 日本の文化の大事なところはなかなか見えにくい。星の王子さまではないが「大切なことは見えない」から、令和の観光開国を進めて成功させるには、古民家というキーワードを上手に使うことが大事なようだ。

 

 提言 その1:

 東京オリンピックの2020年に4000万人、2030年に6000万人のインバウンド(来日外国人観光客)を前に、日本文化と外国の文化の摩擦が表面化してきた。京都ではイタリアのベニスのような観光客の流入規制が論じられている。内外の文化摩擦が衝突に発展する前に外国人観光客の分散が焦眉の急務になって、報奨金を出してでも新しい観光資源を創出しなければならない。

 

 提言 その2:

 分かりやすい案件として桜の花見客をあげよう。いまは毎年4月初旬に東京と京都の名所に外国人観光客が殺到している。

 しかし日本列島は南北に長い。東京以北の北関東から北陸、東北地方にもすばらしい花見所があって、4月中旬から5月初旬まで咲き続ける。

そこで外国からの花見客を4月中旬以降に招致する観光会社には報奨金(例えば消費税の全額免除)を与えるとする。

 

 提言 その3:

 日本観光は世界のお金持ちにとってもトレンドになってきた。

 北海道のリゾート、ニセコに誕生した旅館「座忘林」は超高額ながら世界中から空きを求める客が順番待ち。魅力はパウダースノーのスキー場、原生林、温泉、それと古民家テイストだという。

 古民家の粋を活かした和風モダンな部屋は宿泊客をとらえて、わずか5年足らずで日本の最高級旅館の名声を確立した。座忘林モデルの日本家屋を持つことは21世紀の世界の富裕層の夢になりつつある。輸出に取り組む商社が現れたら、よくぞ日本文化の振興に立ち上がってくれたと表彰状が贈られるだろう。

 

 提言 その4:

 外国人観光客の間では日本人を育んできた古民家への関心がとても高いことが分かってきた。このチャンスをのがさずまずは地方レベルで観光客が泊まれる「古民家の里」を設け、それぞれの地方の目玉の名所とセットにして観光資源を整備したい。

 わたくしの郷里のJR米阪線とフラワー長井が交差するJR.今泉駅前には、指折り数えてみれば江戸から明治期の古民家がトタン屋根も含めて合計7棟も残存している。観光資源としてはアルカディア置賜さくら回廊から最上川の舟下り、サクランボからブドウまで季節の果物狩り、無数の温泉に周囲の山々、スキー場、さらには上杉家の遺構もある。あとは知恵の塩の一振りもあればいい。

 

 提言 その5:

 令和の観光開国の重要性と緊急性から、当初、イメージした「古民家ワンダーランド」構想が現実味を帯びてきた。外国人観光客が泊まれる古民家のテーマパークだから一朝一夕にはできない。2030年のインバウンド6000万人を考えれば一刻の猶予もない。

 地方の各地での「古民家の里」の整備とほぼ同時に、東京都内か近郊に敷地を確保して順次、古民家を移築する段取りに入りたいものだ。古民家は宿泊客を受け入れると同時に、1都1道2府43県それぞれの名物と料理の販売店を兼ねる。京都ならば町家がふさわしい。

 銀座あたりに軒を連ねる各県のサテライトショップの出店でいいのだが、その任務は重い。古民家ワンダーランドに泊まった観光客は各県の古民家の印象で、日本のどこへ観光にゆくかを決めるだろうからだ。古民家のテーマパークは敷地を提供する都府県が、お金を落とす観光客を独り占めして得をするだろう。

 

 最後になった。外国人観光客との文化摩擦を一番、心配しているけれども、それほど悲観している訳ではない。

 わたくしはかつてイタリア人の通訳付きでバチカンでのモーツアルトについて取材したことがある。その通訳がいうには、イタリアは日本人の農協さんの大群に困惑して、「日本人観光客のために特別地区を設けるべきだ」と本気で考えたことがあった。しかし1990年代に入ると日本経済がインターネットを民間に解放したアメリカに敗れ、次いでリーマンショックで打撃を受けて潮が引くように消えていったという。

 大不況に見舞われなくても、リアルな戦火が火を吹くだけで観光ビジネスは窒息する。

 だからこそ外国人観光客には板の引き戸の古民家に泊まってもらい、自己抑制して争いを避ける日本人の奥義を授けたいのである。世界平和には民主主義の掛け声だけでは不十分なようだから。

                                   完

 

カラスとともに起きて 35

古民家ワンダーランドって なんなん その8

 

 春の嵐が吹きあれる前の日曜に上野の花見を楽しんだ。

 毎年、4月の第1日曜日の午後に郷里の小中学校の同級生が花見を兼ねて同窓会を開くことになっている。当たり外れはあるが、今年はちょうど満開、見事なものだった。

 

 ところが集合場所の西郷さんの前に着くと、幹事役が浮かぬ顔をしている。花見客の人混みの中に入りたくないという。来る途中、外国人観光客が直進してきて道を譲らないために、ぶつかりそうになって怖い思いをしたのだとか。

 大の男が花を見る気力もうせるほどひるんだのである。これは決して小さなことではない。日本人ならば対人での体のさばき方は、子どものころからのしつけで身体が覚えている。それでもぶつかりそうになったら、「ごめんなさい」と声をかけて挨拶するのが礼儀というものだ。それが逆に相手からにらみつけられでもしたら誰だって肝が冷える。

 上野の山ではこのようなことが起きているのだ。一見、いつもと変わりないようにみえる花見の光景だが、外国人観光客の毒気のために変質し始めている。京都の嵐山はゴミの山と化し、祇園では舞妓さんがもみくちゃにされ、着物を裂かれているという。

 

 来日外国人観光客が3000万人を超えたばかり(2018年=3119万人)でこれだから、2020年に4000万人、2030年に6000万人も来たら、どうなることか。心配になる。

 「古民家ワンダーランド」はインバウンド(来日外国人観光客)拡大の国策に寄与したいという気持ちもあって構想し、各分野に取材してきたことだが、このような現実を前にして考え方が変わらざるを得ない。

 インバウンドの増大は時代の流れだから、これからも続くだろう。しかし日本の文化がへたるほど狭い日本列島に土足で上がり込まれてはたまったものではない。

 相手構わず、直進するという傍若無人は、それぞれの国の民族の成り立ち、文化と教育に根ざしている。だから歩くときだけでなく。自動車の運転にも現れる。互いに譲らなければ衝突するのは当たり前で、中東諸国の都会を走る車はどれもこれも傷だらけ、ぶつかったか、ぶつかられたかした痕のない車を探すほうが難しい。

 

 民族同士が食うか食われるかの過酷な歴史の中で育まれたものだ。根っこは深く、他所の国がとやかく言えることではない。しかし日本にだって他所さまの家に土足で上がってはならないという不文律はある。国境を越える国際経済のルールならいざしらず、日本の文化は大事にしていただかなければ困る。

 引き戸で仕切られた「古民家ワンダーランド」に泊って日本人の暮らしぶりを体験してもらいながら、日本人の礼儀作法から謙譲の美徳までを知る、という当初の構想が新しい任務をおびて蘇ってくる。さもないと数年で倍増する勢いのインバウンドに、かけがえのない日本の精神文化がズタズタにされてしまいかねない。

 

 ここまで書いてふと考える。

世界を眺めれば、「寄らば切るぞ」どころか「寄らば核弾頭をぶっ放すぞ」の風潮が高まっている。日本のような平和な国はどこにもなくなった。このことをわたくしたちはもっと誇りに思っていいのではないか。

日本が江戸時代から今日に至るまでに体得したライフスタイルとその作法は、案外に最も優れた安全保障の基盤になるかも知れない。

 

 

カラスとともに起きて 34

古民家ワンダーランドって なんなん その7

 

 咲いたかと思ったら寒波の襲来で、仙台は雪。こういう試練に遭うと、さくらの花びらはピンクを増して妖艶になる。ことしは滅多にない花見が楽しめそうだ。

 とはいえ、インバウンド(外国人観光客)拡大の国策に協力して、花見客を呼ぼうと考えたわたくしは、浮かれるどころではない。

 そもそも台湾の旅行社に声はかけたが、果たして募集に応じて中国人が来てくれるかどうか。観光ビジネスの素人は気が気でない。しかも今年から内外の観光客を扱う業者は、観光バスやホテル旅館、旅行計画を立てるグランドオペレーションについて、政府の資格(ライセンス)がないとやってはいけないことになっている。過労の運転手による観光バスの死亡事故が相次いで急にルールが変わった。eブックランドにその準備があるはずもない。

 

 心配の種だったこの問題が、急展、解決した。

 権限もなく観光計画を立てたらお縄頂戴になりかねないという話しは、去年の秋に聞いたことだ。わが社が出版した「邪馬台国は四国だった 女王卑弥呼の都は松山」(朝戸 夕真著)を読んで、旅行計画を立ててビジネスにしたいので教えてくださいと相談に来た女性が教えてくれたのである。

 翌日、その試験があるという女性は、連日の猛勉強とストレスのために体調を崩していた。そこでわたくしは即効性のある措置として、粉のビオフェルミンを飲むことをお勧めした。

 もしかして彼女は資格試験に合格してはいないだろうか。名刺を探し出して尋ねたら「はい、合格しました。ライセンスホルダーになりました。あの節はお世話になりました」と電話口で声を弾ませるではないか。新潟県出身の彼女は上杉藩にゆかりがあるとかで、上杉家が統治した越後、会津、米沢には関心があるとまで語ってくれた。

 

 将来性の高い夢ある国家資格を得て、彼女は超多忙のようだ。置賜さくら回廊は江戸時代に上杉藩が統治したところで、ここに桜の銘木、古木が残っているのは上杉一族のおかげでもある。いよいよになれば腰を上げてくれるに違いない。

 にわか仕立ての観光ビジネスが本格的に進む道が開けたことで、わたくしは勇気百倍。

 「まだ間に合う 日本の花見ツアー アジアの楽園 置賜さくら回廊」

 「一生に一度は見てみたい アルカディア置賜さくら回廊」

―魅力的なキャッチがどんどん沸いてくる。

 東京より3週間遅れ、今はまだつぼみの置賜さくら回廊の桜は、この寒さでやや遅くまで咲き続けるだろうが、5月初旬には散ってしまう。その後には山形県の最上川沿いに、舟下りやサクランボ狩りなど、値千金の観光イベントを連ねて内外の観光客に楽しんでいただきたいと考えている。

 なんとこの世は、奇縁、良縁のリンクで結ばれていることか。

 

カラスとともに起きて 33

古民家ワンダーランドって なんなん その6

 

  eブックランドの社会貢献事業「古民家ワンダーランド}構想が急展開。わたくしの郷里の桜の名所「置賜さくら回廊」を舞台に、台湾や東南アジアの観光会社と提携して外国人観光客を招致することになった。

 日本国内の方々はもちろん大歓迎である。

 置賜というのは山形県南部の米沢盆地のことで、ここには江戸時代、上杉藩が手塩にかけて守り育てた樹齢1200年、日本三大古木のひとつ、久保の桜もある。

 しかも明治11年(1876年)訪れたイギリスの女性探検家イザベラ・バードが、「ここはアジアのアルカディア(理想郷)」と書き記したところ。奥羽山脈と吾妻山、飯豊山など2000m級の高山に囲まれて、放射能雲さえ撃退した風光明媚な秘境なのだ。

 

 このために春の訪れは東京や京都より3週間遅れ、桜は4月15日ごろから見頃を迎える。

 お国自慢と聞こえるかもしれないが、それ以上の普遍的な価値ある花見客所だと思うのでぜひ、「置賜さくら回廊」の見事な咲きっぷりをインターネットでご覧いただきたい。

https://www.okitama-sakura.com/

 

 ここに外国人観光客を招くような芸当ができるのはアジアの空に格安航空会社LCCによる一種の革命が起きているからだ。台湾のタイガー航空なら台北ー仙台空港往復で1万5000円、タイのバンコクからはエバー航空で2万円以下の往復航空券が使える。

 格安航空会社というのは、国境をなくすヨーロッパ統合の過程で1990年代に生まれたもの。今やそれがアジアに波及、各国がLCCで価格破壊競争をしながら、東北など地方の空港に直行便を飛ばしている。いわば航空業界のユニクロ、ダイソーが続々誕生して、空の旅が様変わりなのだ。

 電子出版社eブックランドはにわかに観光事業はできない。花見客の募集の主体は台湾や中国、アジアの国々の観光会社にお任せして、わたくしができるのはコンサルぐらいなものだが、アジアの国と人々がこんなに身近かになっていることを知ってわくわくしている。

 

 花見についてはこんな歌を詠んだことがる。

 「満開の 花の真下に 孤独あり ともに見上げる きみ居らざれば」

 人はいくら望んでも100回を超えるほどの花見はできない。その年その年の花の花びらは、それぞれの人生模様を映して散ってゆく。だから美しい。こんな楽しみ方を外国の方にも知っていただきたい。

 これら外国人観光客に古民家に泊まっていただくアイデアは、準備不足で果たしてできるやら。それでも花見シーズンの終わりごろには、茅葺き屋根に引き戸、戸障子の古民家泊まりを小規模にでも実現したいものだ。

 消え行く日本の歴史的な木造家屋、古民家は世界平和に役立つから大事にしようと始めた「古民家ワンダーランド」の社会貢献事業がこれほど劇的な展開をみせるとは思いもよらなかった!まさか、まさかの展開である。

 「アルカディア置賜さくら回廊」に興味があり、訪れてみたい方々はコンサルタントのeブックランドまで、メールか電話でご連絡ください。国内の旅行計画を組むランドオペレーターのライセンスホルダーの支援も取り付けたので、安心して花見ができます。

 

 

カラスとともに起きて 32

古民家ワンダーランドって なんなん その5

 

 様々な指標が古民家ワンダーランドGO、GOと応援しているようにみえる。しかし経済的なフィージビリティ(実現可能性)はどうなのだろう。

 これまで縷々、思い巡らすうちに、江戸時代の宿場町のイメージが浮かぶことがあった。旅のお方の疲れを癒やし、おもてなしするために街道沿いに出現した街並みである。目指すべきはまさにそのような宿泊施設なのではないか。

 

 それならば、格好のモデルがある。

 山形県の米沢盆地にある古民家の実家に車で帰省するときに通ることがあって、立ち寄ったことのある福島県奥会津の大内宿である。これなどまさしく江戸時代の宿場町だ。会津と日光を結ぶ下野街道沿いにあった47棟もの茅葺き屋根の古民家がそっくり残っている。

 福島では1,2を争う観光地で年間110万人もの観光客が訪れていた。8年前の3.11東日本大震災で50万人台に半減したが、2018年には80万人を越えて回復してきている。

 外国人観光客もここ数年、急激に増えてきた。福島や仙台空港に運賃の安いLCCの飛行機が東南アジア方面から飛んでくるようになった。なかには成田空港から貸切バスで大内宿に直行してくる団体客もある。確かな数字ははっきりしないが、全体の数割を占めるまでになってきた。

 大内宿のなかには民宿を経営しているところもあるが、外国人の団体までは受け入れていない。会津には東山温泉があって、向瀧(むかいたき)のような古くからの日本旅館がいくつもあるので、団体のツーリストはそっちに向かっているようだ。

 

 それにしても大内宿ではこんなに沢山の茅葺き屋根の古民家をどのように維持し、管理しているのだろうと聞いたら、茅の屋根葺きは隣近所が互いに助け合う「ゆい}の慣習で行っている。茅も少なくなったとはいえ会津には採れるところもあるので、そう大変ではないという。

 ただ昔は茅もいろりの煙でいぶしたものを使っていたので30年も持ったが、いまはそれができない。持ちが半分ほどになってそれが苦労と心配の種だと教えてくれた。

 聞き進むうちに北海道のニセコ町のリゾートのオーナーが高額で古民家を買っているという情報を得た。かかわっている大工さんを探し出して聞いたところ、3月中に解体されて売られて行く古民家は近所の村のもので、トラック7台を連ねて北海道まで運ぶという。

 解体と輸送費などの費用は約1000万円。して現地での組み立て再生のコストはどれ位なものかと尋ねたら、「1億円もするでしょうかね」とさらりと言う。これには、エーッ!とたまげた。

 購入するのはニセコ町の原生林の中のリゾート、座忘林(ざぼうりん)という旅館を経営するイギリス人で、もう4棟目の移築再生だという。

 

 その1軒がどのように再生されて利用されているかをホームページで見つけて、「1億円」の意味がほぼ分かった。古民家は徹底的に解体され、デザインも古民家とは分からない新しい家屋に組み立て再生している。丸い石造りの内風呂や露天風呂を設けるなど、この世に二つとない和風モダンな温泉旅館に生まれ変わっている。

 なるほどこれでは「億」のお金がかかる訳だ。こうして出来た特製の部屋は、1泊5万~14万という超のつく高額の宿泊代でペイするというビジネスモデルなのである。ニセコ町には日本とは思われない世界の大金持ちが集まる超高級な旅館・ホテルが林立する別天地が出現していることを初めて知った!

 

 いや参りました、降参、脱帽です。到底、わたくしのような者がマネのできることではない。

 しかしこれも古民家ビジネスの究極の形なのだろう。 おかげ様で住まいのテーマパーク、古民家ワンダーランドの進め方が固まった。

 古民家の活用は日本各地で様々に始まっている。この流れは経済原理にまかせて、どんどん進めていただこう。その中でわたくしの古民家ワンダーランドのコンセプトに沿う古民家を、ホームページ上で世界の人々に紹介するのが一番、無難なようだ。

 古民家のテーマパークは大内宿のように皆がみな、茅葺き屋根の古民家である必要はない。地方自治体や個人の篤志家が、まずは地方で小型の古民家ワンダーランドを設けて外国人観光客の来日を促進する。その勢いで関東や近畿に本格的な泊まれる古民家ワンダーランドが誕生すればいいと思う。

 戸障子の木造家屋の中で、わがままを我慢して平和に生きる日本人の生活スタイルの原点が少しでも知られて、争うことなく共存できるようになればそれでいいのである。

 

 

カラスとともに起きて 31

古民家ワンダーランドって なんなん その4

 

 泊まれる古民家ワンダーランドのキャッチフレーズが浮かんできた。

Welcome to KOMINKA Wonderland

 Stay in Old Wooden House for Peace

 

 異国の文化に対する憧憬に、世界平和を加味した新手の惹句である。これなら農家民宿から高級な旅館までをカバーして幅広く使えそうだ。

 国内的には古ぼけた昔の古民家のイメージは良いとは言い難い。屋内が戸障子で仕切られた木造家屋などとんでもない―というのが大方の受け止め方だろう。とりわけ女性にはプライバシーというものがほとんど配慮されない戦前期の日本家屋は耐え難いに違いない。ウーマンパワーの活動家ならば「男の戸主が威張りくさる家父長制の匂いがする」と一刀両断だろう。

 もはや時代は個々人の権利を大切にする民主主義に変わったのである。かくて安普請でも合板などの新建材で建てられたいわゆる文化住宅が、シック症候群もなんのその日本中に林立して、戦前に建てられた古民家などは朽ちて見捨てられる一方だ。

 

 このような風潮の日本で、いま何故、古民家ブームなのか。

 第一には爆発的に増える外国人観光客のエキゾチシズム(異国の文化好み)を満たすために、官民が古民家を観光資源として見直し始めたことがある。外国人観光客が増えるのは喜ばしいけれども、それが特定の観光地にばかり集中して社会問題化するところも現れて、外国人観光客の訪問地の分散が焦眉の急務になってきている。

 古都、京都では外国人観光客が殺到してホテルが取りにくいということで日本人の宿泊客が2015年から4年、連続して減った。2018年は9.4%減。これは”京都離れ”というよりも、もはや日本人の”京都敬遠”である。

 

 影響は市民の日々の生活にまで及んで、京都市議会の現職議員が「このままだと市民から外国人観光客の排斥運動が起きるかもしれない」と発言するに至っている。市営バスが大きなトランクの観光客で一杯で、市民がなかなか乗れない。夜の街のトラブルはすでに日常茶飯事。もうすぐイタリアのベネチアを見習わなければという声が聞こえてきた。

 水路をゆっくり進むゴンドラで知られるベネチアはイタリアでも最大級の観光地だが、殺到する外国人観光客のために混雑を嫌う市民が逃げ出して人口が減りつつある。そこで市長は2018年に観光客の交通規制を始めたのみか、ことしは従来からの宿泊税のほぼ倍額の「訪問税」を新設することになった。金額は時期によって変わるが1人当たり10ユーロ(約1200円)が予定されているという。

 昨年、京都を訪れた観光客は5500万人で宿泊者数は1415万人。そのうち外国人観光客は公式には318万人だが、無認可の民泊110万人のうち90%は外国人とみ見られ、修学旅行で訪れる生徒学生の数に匹敵するとか。

 

観光庁は東京オリンピックの2020年には外国人観光客は4000万人、その10年後には6000万人を招致したいとしている。期待込みの予測とはいえ、ベネチアの事態はもはや他人事ではなくなってきたようだ。

 東京では小池百合子都知事の「食のテーマパーク」構想が話題になっている。

 都知事選とからんで騒がしいようだが、築地に「食のテーマパーク」を設けるのは当たり前の話だ。都庁詰めの記者だったこともあるわたくしは、かねてから築地は防災拠点化するとともに築地の長年の歴史とノウハウを活かして、東京湾サイドに全国の海の幸が楽しめるレストラン街を設けるべきだと提案している。もちろん外国人観光客の利用を想定しての店舗群である。

 浅草を訪れた観光客は浅草橋のたもとから隅田川を下って築地に向かう。東京の二つの観光スポットを結んで歓迎するという趣向だ。

 小池都知事の方ですか?と揶揄する人がいたら「はい。その通り」と答えよう。というのはわたくしは小池都知事には大変な恩義がある。

 一宿一飯どころではない、その昔、わたくしが中東駐在員だったころ、カイロのモハンデシンというところに支局があって、その150メートルほど先に小池都知事のご両親が経営する日本料理店があった。特派員のわたくしは出張に行ったらいつ帰るとも分からない鉄砲玉。乳呑み児を抱えた妻は困り果ててご両親の店に入りびたってお世話になった。

 拡大する外国人観光客のおもてなしがこれだけ重大な課題になっているいま、築地に「食のテーマパーク」を設けるプロジェクトに反対する人の気が知れない。

 そこで本題の「古民家ワンダーランド」である。言ってみればこれは「暮らしのテーマパーク」ではないだろうか。

 問題は採算が取れる観光ビジネスにできるかどうかだ。古民家の移築と再生のコスト、それと外国人観光客の落とす外貨の収支計算の段階に入ろう。

 

 

カラスとともに起きて 30

古民家ワンダーランドって なんなん その3

 

 古民家ワンダーランドには観光だけでなく、平和を守り、強固にする効用があることが分かってきた。こんな大切なミッションが潜んでいるとは、わたくしにも思いがけない展開だった。

 

 こうなれば兜の緒を締めて取りかからなければならないが、一口に古民家といっても様々だ。

 当初は「古民家ワンダーランド」の主要な目的である「日本人の暮らしぶりをみせる」という基本があれば、ホームページ上で紹介してもいいのではないだろうか。

 石川県の能登半島の農家の民宿「春蘭の里」などはその一例だ。農家の建物は必ずしも年代ものではないが、戸障子の木造家屋の暮らし、町の行事、農作業などをそのまま観光客にみせて好評を博している。2018年には総勢1万3000人が泊まり、うち1800人が外国人観光客で年々、増えている。

 旅館だって由緒ある木造家屋の趣を大切にしているところは日本列島に少なくない。

 わたくしの実家の古民家がある山形県の米沢盆地に鎌倉時代からの秘湯がある。かつては東屋、中屋、西屋の豪壮な茅葺き屋根が並んでいた吾妻山麓の白布温泉だ。茅葺きの旅館は西屋だけになってしまったが、伊達政宗や上杉鷹山らが入り、上杉藩の鉄砲鍛冶が1000丁もの火縄銃を作った疲れを癒やしたという湯滝は昔のまま。西屋の部屋は一つとして同じ造りはない。

 

 その西屋の若女将のコラムが面白くて読み進むうちに、雪下ろしの写真と描写があった。命綱のロープを腰に付けての高い茅葺き屋根での雪掻きである。読むだけでも身がすくむ。若女将は本職のスコップマンと一緒に雪を降ろして仕事ぶりを褒められたというから大したものだ。

 幸い、ことしは雪が少なくてすいせんの若芽が溶けた雪の間から顔をだしたという。広い旅館には数匹の猫たち遊んでいるともいうから、こんどこそは泊まってみたいと思う。白布温泉からやや下ったところには、1200年前の平安時代に歌人の小野小町が秋田に出張していた父を訪ねる途中、湯に浸かったという伝説の小野川温泉街もある。

 

 外国人観光客の団体客も泊まれる本格的な古民家ワンダーランドが誕生するまでは、こうした木造の古い日本旅館も含めてホームページで紹介することにしよう。そのうちに小型の古民家ワンダーランドが日本各地に誕生してくるだろう。さもないと東京オリンピックの2020年にはもう4000万人、7000万泊と想定されている外国人観光客をさばききれない。

木造の古い古民家は世界で日本にしかない建築様式である。それが古民家に対するエキゾチシズムをかきたてるのみか、そこでの戸障子の日本家屋の体験が世界の平和につながるということになれば、外国人観光客の来日にはさらに勢いが増すのではないだろうか。

 もちろん「古民家ワンダーランド」のホームページは、日本語だけでなく、世界各国の言葉でグローバルに読まれなければならないが、こうした目的のための多言語翻訳ソフトはここにきて急速に充実してきたので心強い。

 

 

カラスとともに起きて 29

古民家ワンダーランドって なんなん その2

 

 外国人観光客が泊まれるテーマパーク「古民家ワンダーランド」という発想は、わたくし自身が相続している古民家が発端になって生まれたが、それだけではない。わたくしは学生のころに外国人観光客のガイド、つまり通訳をして食べていた時代があった。

 大学でフランス語を専攻しているということで東京オリンピック(1964年夏)ではアナウンサーの通訳に起用されたし、JTBからフランス系の観光客のガイドを頼まれて家庭教師以上の実入りのいいアルバイトをして学費をまかなっていた。

 観光地の故事来歴とか歴史を知っていたからというわけではなかった。片言のフランス語が話せるだけでもいいからということで、カバン持ちのようなことをしていたのである。思い出せば箱根や日光、奈良・京都の名所から富士山山頂まで観光客を案内して登った。

 

 忘れられないのはフランス人の歯科医のご夫妻を案内して、神戸から大分まで別府航路の船に乗って瀬戸内海を航海したときのことだ。ご夫妻は波の穏やかな瀬戸内に浮かぶ緑の島々をデッキから眺めては、「C'est beau,C'est beau!」(セ・ボー、セ・ボー=美しい、きれいだ!)と叫び、わたくしをつかまえて「サンシロウ、こんな美しいところは世界にないよ」と教えてくれた。瀬戸内海の美しさを褒められたことが、わが事のようにうれしかったことを想い出す。

 あれから半世紀以上も過ぎて21世紀のいま、日本を訪れる外国人観光客の来日の狙いは昔と同じような観光―サイトシーイングばかりではない。

 日本と日本人について、本当に理解しようと神秘的―ミステリアスで片づけられてきた部分を知りたい、勉強したいという外国人が増えている。ただ観るだけではなく、体験したいという観光客が増えている。

 

 わたくしの住む杉並区の久我山の居酒屋でフランス人と隣り合わせになることがあって驚いた。北部フランスの30歳前の若者たちで、しばらく日本に滞在してビジネスチャンスをつかみたいのだという。これはまさしく様変わりである。

 平和を希求して国境をなくしたヨーロッパ統合の精神は、戦争を放棄した日本の平和主義に通じるところがある。だから今年2月1日に発効した相互に関税を撤廃するEPA(経済連携協定)のような重要な条約がすんなりと成立する。

 いまや激烈な国際競争をしのいで自動車や列車で最先端を走る日本に対しては、世界中が興味深々なのだ。

 これは日本を売り出す好機だ。しかもこうした外国人観光客に日本的な譲り合うライフスタイルを学んでもらうことは世界平和の構築に役立つのだから、こんなにうれしいことはない。

 「古民家ワンダーランド日本」のネットワークを日本中に張り巡らそうではないか。大きな夢に向かって!

 

 

カラスとともに起きて 28

古民家ワンダーランドって なんなん

 

 歌手の安室奈美恵さんが「歌姫って なんなん?」と言ったというので流行っている”なんなん”の語感がいい。幼い子どもだって使えるし、ずーずー弁のわたくしにも分かる。

 そこで「古民家ワンダーランド」って なんなん?である。

これはわたくしの茅葺き屋根の実家から始まった。

 山形の米沢米沢盆地の一角に立つ明治中期の築100数十年の年代物である。かなり前に相続したのだが、この先、だれが面倒を見てくれるのか。いよいよ心配になってきたので触角を上げて調べているうちに、古民家の価値を高く評価する一級建築士グループと知り合いになった。

 大学教授らのこれら一級建築士たちは日本の古民家は日本のみならず、世界的にみても貴重な文化遺産だということで保存に動いている。渡りに舟とばかりに我が家の古民家の売却を含めてお願いしたところだ。

 背景には爆発的に増え続ける外国人観光客のトレンドがある。 観光庁の試算によれば、昨年2018年には3100万人を越える観光客が訪れて、1人当たり15万3000円を支出して総額4兆5000円を日本にもたらした。

 ことしは3500万人、2020年には東京オリンピックもあって4000万人、宿泊数7000万泊が見込まれて落とす外貨は8兆円にのぼる見込み。観光事業は日本経済にとって欠かせない柱になってきた。

 外国人観光客をあてにしてホテル・旅館の建設ラッシュが起きており、とりわけ日本調の旅館は相次いでリノベーションに乗り出している。それだけではこれだけ急ピッチな拡大には対応ができず、全国各地で農家までが民泊を提供して大繁盛だ。

 ここでわたくしが注目したのはこれら急増する外国人観光客の来日の狙いである。大戦の焼け野原からまたも世界有数の経済大国にのし上がってきた日本、そのノウハウを知りたい、あわよくばその恩恵に与りたいというのは当然だろう。

 しかしながらこのノウハウを伝授するということが、なかなか難しい。日本人を日本人たらしめている対人関係のスタンス、所作、礼儀作法というのは内なるもので、星の王子さまではないが目にはみえない。

 

 渋谷の京王井の頭線のコンコースから地上のスクランブル交差点を見守る外国人をよくみかける。歩行者が四方から歩いて渡っても、互いに衝突するでもなく整然と渡る光景が国際的に知られて、東京を訪れる観光客が見逃せないスポットとされているからだ。我が強くて道を譲る作法が身についていない国の観光客は、「わが国でこんなことをすれば交差点のそちこちでぶつかってケンカが始まるだろう」と驚嘆するらしい。

 かくて21世紀の現代に至っても日本人はミステリアスなままだ。このために欧米人との間で会社の運営方法を巡って大問題が起きる。日産のカルロス・ゴーン逮捕事件の根底にあるのがこれだ。社会のシステムをそのままにトップダウンの経営が普通な欧米と、片やボトムアップの日本流の経営の相違がきしむ。

 

 見えないけれども大きな違いはどこからきているのか。

 わたくしには日本の木造家屋に由来していると思われる。石造りの欧米の家屋に対して日本の木造家屋は戸障子の仕切りしかない。プライバシーなどないも同然。日本ではそれぞれが我を張ることなく、相手と折り合いをつけなければ家族と一緒に暮らすことさえままならない。

 折り合いをつける、他人を思いやる―わたくしたち日本人が子どものころから厳しく教え込まれる。しつけの原点はなんのことはない戸障子で仕切られた日本ならではの木造家屋にあったのだ。だから戦争に負けて四島に押し込められても、めげずよく働いて再び世界が羨む繁栄を取り戻したのだといえる。

 

 一方、世界をみれば戦争が絶えない。大国では新しい兵器を開発するなど戦争の準備をしていることが報じられている。これから先、世界人口が増えたらどうなるのやら。もし日本が関係するところでリアルな軍事衝突が起きたりしたら、観光客の拡大も東京オリンピックの準備も一瞬にして水の泡だ。

 ここまで考えたとき、構想が組み上がった。

 世界が日本に関心を持って観光客が増えているいまこそ、日本の繁栄の秘密である木造家屋、古民家の暮らしぶりを見せて、お互いが譲り合うライフスタイルを本気で伝授してはどうだろう。日本に見習って譲り合い共存する術を知って、世界はもっと平和になる、いや、ならねばならない!

 外国人観光客が泊まれる古民家群、古民家ワンダーランドをそちこちに設けて外貨を稼ぐ。それによって世界が平和になるなんて、なんと素晴らしいことではないか。観光は有意義な平和産業なのだ。

 かくてテーマパーク「古民家ワンダーランド」のコンセプトは誕生した。

 

最後まで目を通していただきまして誠に有り難うございました。

1回目のコラムを書いたのは019年2月19日でした。

ひまわり種まき隊活動報告
トップページに返る
お問い合わせ・ご質問はこちらから
 
1
1 2004 e-Bookland,Inc. All right reserved. 1サイトポリシー 1このサイトについて